「うちの子、膝が痛いと言っているけど成長痛だから大丈夫」——この言葉を保護者の方から聞くたびに、私は注意するようにしています。オスグッド・シュラッター病や疲労骨折は「成長痛」ではなく、過負荷による障害です。適切なフィジカル管理があれば、多くは予防できます。指導歴20年、JFA公認フィジカルフィットネスCライセンスを持つ女性S&Cコーチが、育成年代のフィジカル設計について保護者目線でも分かりやすく解説します。
育成年代に多い慢性障害とその原因
サッカーをする小学生〜高校生に最も多い障害は、膝のオスグッド・シュラッター病と、踵のシーバー病です。どちらも成長板(骨端線)に過大な繰り返し負荷がかかることで起きます。
原因は「練習しすぎ」だけではありません。ジャンプやスプリントの着地で衝撃を膝や踵に集中させてしまう動作パターンの問題、そして体幹・臀筋の弱さから下肢に過負荷が集中することが根本にあります。つまり、動作の質を改善すれば、練習量を極端に減らさなくても障害リスクを下げられます。

「PHV(最大成長速度)期」を理解する
JFA公認フィジカルフィットネスCライセンスで最も重要なテーマの一つが、PHV(Peak Height Velocity)——身長が最も急激に伸びる時期の管理です。
PHV期(多くは男子12〜14歳、女子11〜13歳)は、骨の成長に筋肉・腱・神経系が追いつかない時期です。柔軟性が低下し、協調性が乱れ、ケガリスクが一時的に高まります。この時期に「もっと練習しろ」ではなく、「動作の質を守る」介入が必要です。
- PHV期:骨の成長に筋肉・腱が追いつかない。高強度より動作品質の維持を優先
- PHV前(プレPHV):協調性・動作パターンの習得に最適な黄金期
- PHV後:筋力トレーニングに対する応答性が高まり、本格的S&Cの適期
クロスフィットの「10の身体能力」が育成年代に活きる理由
私が2013年にクロスフィットアジア大会に出場した経験と、CrossFit Level 2の資格は、ジュニア指導においても大きな武器になっています。
クロスフィットが定義する10の身体能力——持久力・スタミナ・筋力・柔軟性・パワー・スピード・協調性・正確性・アジリティ・バランス——は、育成年代に養うべき身体能力のリストとほぼ一致します。クロスフィットメソッドの「多様な動作パターンへの暴露」という考え方は、早期専門化によるオーバーユースを防ぐ育成年代のプログラム設計に直接活かせます。
保護者が今すぐできる3つのこと
①「痛い」を軽視しない
お子さんが「膝が痛い」「かかとが痛い」と訴えたとき、「成長痛」と片付けないでください。練習や試合後に特定の部位が痛む場合、慢性障害の始まりである可能性があります。早期に専門家(整形外科+S&Cコーチ)に相談することで、長期離脱を防げます。
②睡眠と栄養の優先順位を上げる
成長期の筋肉と骨は、練習中ではなく、睡眠と栄養の中で作られます。毎日8〜10時間の睡眠と、体重×1.5〜2.0gのタンパク質摂取を確保することが、トレーニングの効果を最大化します。「練習が終わってすぐ寝る」ではなく、「補食を摂ってから寝る」習慣が重要です。
③「量」より「質」を評価する
練習時間の長さで頑張りを評価すると、子どもは無理をして隠します。「今日の動きはどうだった?」「疲れは取れているか?」という問いかけで、身体の状態を子ども自身が言語化する習慣をつけてください。自分の身体の状態に気づける選手は、長くサッカーを続けられます。

ESTADIOA S&Cのジュニア向けプログラム
中学生以上のサッカー選手を対象に、動作評価から始まる個別設計のS&Cプログラムを提供しています。JFA公認フィジカルフィットネスCライセンスの知識を基盤に、PHV期のステージに合わせてプログラムを調整します。
保護者の方の不安——「本当に子どもに筋トレをさせていいのか」「強度は大丈夫か」——には、初回セッションの評価結果をもとに丁寧にお答えします。お子さんと一緒に最初のセッションに同席していただくことも大歓迎です。
まとめ
育成年代のフィジカル管理は、「鍛える」ことより「壊さない」ことが先です。PHV期の理解・動作の質への介入・睡眠と栄養——この3つが揃って初めて、サッカー選手としての長期的な成長が保障されます。横浜・綱島のESTADIOA S&Cでは、お子さんの今のステージを評価し、10年後も元気にサッカーをしていられる身体の土台を、一緒に作っていきます。まずは体験セッションでご相談ください。
