先日、ブレイキンのトップアスリートたちと真剣勝負をする機会がありました。結果は9人中6位。さすがトップと呼ばれる選手たちは、当たり前のように強かったです。指導歴20年、S&Cコーチとして選手を導く立場でありながら、私は今も競技者であり続けています。今年もクロスフィットの大会に出ました。この記事では、そうした「本物の負けず嫌い」たちとの勝負を通じて改めて突きつけられた、限界を超えていくメンタリティと、それを支える生活習慣について、コーチ自身の実体験としてお話しします。サッカー選手にも、ジュニア選手を支える保護者の方にも、通じる話です。
指導する立場でありながら、今も競技者であり続ける理由
私はS&Cコーチとして20年、選手のパフォーマンス向上を仕事にしてきました。しかしその一方で、自分自身も競技者であることをやめていません。今年もクロスフィットの大会に出場し、先日はブレイキンのトップアスリートたちとの真剣勝負にも臨みました。
なぜ指導する側に回っても競技を続けるのか。答えはシンプルで、実際に自分が限界と向き合い続けなければ、選手に伝えられる言葉が机上のものになってしまうからです。負ける悔しさ、追い込む苦しさ、それでも次こそはと思う気持ち——これらを今も生々しく感じているからこそ、選手の隣で同じ景色を見ながら指導できると考えています。
トップアスリートに共通する「限界への向き合い方」
先日の勝負で対戦したのは、ブレイキンという別競技のトップ選手たちでした。競技は違えど、彼らが持っているメンタリティには、これまで私が出会ってきたどんな選手をも超えるものがありました。ひとことで言えば、限界の一歩先へ踏み込む力です。
多くの人は「もう無理だ」と感じたところで手を止めます。ところが本物のトップアスリートは、その定型通りの限界のさらに上を平然と行きます。誰もが引き返す地点から、もう一歩進める。この差が、競技の世界では決定的な違いになります。9人中6位という自分の結果は、彼らとの距離をはっきりと教えてくれました。悔しさと同時に、これ以上ない刺激をもらいました。
強さを支えるのは、目に見えない生活習慣
彼らの強さに触れて、もうひとつ痛感したことがあります。それは生活習慣の徹底ぶりです。私はこの勝負のために24日間の禁酒をして臨みました。自分としては十分に準備したつもりでした。ところが彼らは、10年単位で禁酒を続けているというのです。この差は、本番の一日ではなく、日々の積み重ねそのものでした。
ハードなトレーニングや試合を繰り返す競技者にとって、身体を追い込むこと以上に、それをどう回復させるかが重要になります。トレーニングで壊した筋肉が強くなるのは、休息と栄養、そして質の高いリカバリーの時間の中です。パフォーマンスは、練習している時間だけでなく、練習していない時間の過ごし方で決まります。
リカバリーを習慣に組み込む
彼らが実践していたリカバリー習慣のひとつが、週5回ほどの銭湯通いでした。温冷交代浴、とりわけ水風呂を上手く使っているようです。温かい湯と冷たい水を交互に使うことで血流を促し、疲労物質の除去や自律神経の調整を助けるという考え方は、スポーツのコンディショニングでも広く取り入れられています。
大切なのは、こうしたリカバリーを「気が向いたときにやること」ではなく「生活の一部として毎週欠かさず行うこと」に落とし込んでいる点です。禁酒も、クールダウンも、睡眠も、一日だけ頑張っても意味がありません。何年も続けられる仕組みにできるかどうかが、トップとそうでない選手を分けていました。
- 本番前だけの努力ではなく、年単位で続く習慣が土台になる
- 追い込むこと以上に、回復の質がパフォーマンスを左右する
- 水風呂などのクールダウンを「毎週の予定」として固定する
- 睡眠・栄養・禁酒など、目に見えない部分の積み重ねが差になる
指導者としての気づき——「話す時間」より「動く時間」を
競技者としての学びと並んで、私は指導者としても常に自分を更新し続けています。以前、保有するCrossFit Level 2の資格を更新した際、二日間の講習であらためて突きつけられたことがあります。それは、我々指導者はつい教えすぎてしまう、という事実でした。
自分の知識を与えようとするあまり、話しすぎたり、手本を見せすぎたりする。ですが、その説明をしている間、目の前のアスリートはどうなっているでしょうか。動いていないのです。指導者が満足して話している時間は、選手にとっては上達の止まっている時間でもあります。
だからこそ私は、我々が話す時間ではなく、アスリートが動く時間を最大化することを、指導哲学の中心に置いています。限界を超えるメンタリティも、生活習慣を管理する力も、最終的には選手自身が身体で獲得していくものです。コーチの役割は、それを引き出す環境を整え、動く時間を守ることだと考えています。
まとめ——次は大幅に勝ちたい
トップアスリートとの勝負は、限界を超えるメンタリティと、それを支える生活習慣という、競技の根っこの部分を改めて教えてくれました。定型通りの限界の一歩先へ踏み込む力、そして本番の一日ではなく何年も続く習慣。この二つは、サッカー選手にも、それを支える保護者の方にも、そのまま当てはまります。指導者として日々精進するのは当然として、競技者としての自分もまだ諦めていません。相手も本物の負けず嫌いたちですが、次は大幅に勝ちたい。そのために、諸々また積み重ねていきます。ESTADIOA S&Cでは、こうした競技者としての実感を土台に、選手一人ひとりのパフォーマンスと、長く競技を続けるための身体づくりをサポートしています。
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この記事を書いた人

YOSHIKO
代表 / S&C COACH
日本では数少ないS&Cコーチの一人。運動指導歴20年、NSCA-CSCS・NASM-PES・JFA公認ライセンスを保有し、 スペイン・ラ・リーガ1部やJリーグの選手まで指導してきました。 「性別ではなく、プログラムの質で選んでほしい」を信条に、サッカー選手のフィジカルを変えるトレーニングを提供します。


